その他

強誘電性材料の開発1)
弊社では高せん断成形加工法を用いて非相溶性の高分子ブレンドであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)/ポリアミド11(PA11)系の溶融混練を行い、両ポリマー間でナノ混合だけでなく、分子レベルで相互に溶解している“相溶化”も同時に実現しました。このブレンド系は強誘電性を示すポリマー同士のブレンドであり、実際、ナノブレンド化により良好な強誘電性ヒステリシスを示し、その残留分極値はPVDF単体のものより高い値を観測しました1)。また、圧電性の温度依存性では80℃以上の高温領域においてブレンド試料の方が高い圧電率を保持することも分かりました1)。このように非相溶性ポリマーブレンド系をナノ混合化することにより、構成ポリマーのそれぞれの長所が顕在化し、物性の相乗効果が期待通りに発現しました。この材料は強誘電性メモリーや各種圧電センサーなどに利用可能です。特に、接着性に優れたPA11がブレンドされているため、本ブレンド材料はプラスチック製基材に容易に融着させることができるため、複雑形状の成形にも対応可能となります。

参考文献1):Y.Li, H.Shimizu, T.Furumichi, Y.Takahashi, T.Furukawa, J. Polym.Sci. Part B: Polym.Phys., 45, 2707(2007).

 

電磁波シールド材料の開発2)
弊社では高せん断成形加工法を用いてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とポリアミド6(PA6)とを溶融混練し、共連続構造を形成すると共に、カーボンナノチューブ(CNT)を選択的に配置した“ダブルパーコレーション”構造を構築することに成功しました2)。本ブレンド系においてはPVDF/PA6=50/50ブレンド組成でCNTを添加することにより、その高次構造が“海-島構造”から“共連続構造”に変わります。しかも、添加されたCNTは、PA6相のみに選択的にナノ分散致します。即ち、CNTをPVDF単体、もしくはPA6単体全体に分散させるよりも少ない量(半分)で、導電性を向上させることができました。加えて、この系を高せん断成形することにより、PA6がPA6連続相からPVDF連続相中にナノドメインとして大量に入り込んでおります。従って、低せん断下では、このようなナノドメインが形成されませんが、高せん断下では量的に少なくなったPA6連続相にCNTが高密度でナノ分散しています。このような構造が実際に形成されていることは透過電子顕微鏡観察により確認しておりますが、ここでは模式的に描いた図を以下に示します。図からも明らかなように、ナノドメイン(PA6)の有無により連続相を形成しているPA6相中のCNT密度に大きな差異ができていることは明白です。また、PVDF相中にあるPA6ナノドメイン相は小さいためCNTはこれらのナノドメイン相には入ることができません。このようにPA6 相が連続相となり、かつCNT 同士も重なり合いながらパーコレーションを形成しますので、この系では、“ダブルパーコレーション”構造が構築されております。この構造を反映して、高せん断成形加工したナノコンポジット系では、下図に示されるように、極めて少ないCNT添加量(閾値0.8 wt%)でこの系の電気伝導度が向上していることが分かります。この図では比較のためにPA6/CNT系のそれも示しましたが、その違いは明瞭であり、同じCNT添加量でもその最終到達電気伝導度は4桁程低くなっていることが分かります。このように、高分子ブレンド系に各種フィラーを添加し、高せん断成形加工を行うことで、高分子ブレンド間での共連続構造形成とCNTの選択的分散を同時に行わせることにより、精緻な階層構造制御を“one step”で実現することができました。なお、このような材料は、電磁波シールド材料や各種電極材料としての利用が期待されております。

1-3

1-4

参考文献2):Y. Li and H. Shimizu, Macromolecules, 41, 5339(2008).

保存

保存

保存

保存

保存

保存

保存